「心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正ポイント」

毎年11月は過労死等防止啓発月間です。精神障害・自殺案件については、2011年に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づいて労災認定が行われてきましたが、近年の社会情勢や労災請求件数の増加等により、最新の医学的知見を踏まえて、本年9月に「精神障害の新しい労災認定基準」が改訂されました。
認定基準改正のポイント
■業務による心理的負荷評価表の見直し
①具体的出来事の追加、類似性の高い具体的出来事の統合等として、下記を追加
・「顧客や取引先、施設利用者等からの著しい迷惑行為を受けた」を追加
(いわゆるカスタマーハラスメント)
・「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
②心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例の拡充
・パワハラ6類型すべての具体例に加えて、性的志向・性自認に関する精神的攻撃等を含むことを明記
・実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価
■精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直し
(改正前)悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」(特に心理的負荷となる出来事)がなければ業務起因性を認められない
⇒(改正後)悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」が無い場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分については業務起因性を認める
■医学意見の収集方法を効率化
(改正前)専門医3名の合議による意見収集が必須な事案
例:自殺案件、「強」かどうか不明な事案
⇒ (改正後)特に困難なものを除き専門医1名の意見で決定できるよう変更 など
上記の改正を通じて、
評価表の明確化等により、より適切な認定、審査の迅速化、請求の様以下を図るものとなりました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf(心理的負荷表)